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短編集

短編集というのは、いけませんね。

好きな作家の短編とあらば、
自分が、其の文中の世界に入り込む入り口をすんなり見つけてしまえるので、
あれよあれよと言う間に、三編は読んでしまいます。
いや、此の本は、暫くは本棚でねかせて、
部屋の空気に馴染んできた頃合をみて、まぁぼちぼちと読もうかと購入した筈なのに、
早速、それも職場で、ぺらぺらと読み進めてしまうのは、いかがなものだろうか。
でも、短篇を "職場でぺらぺら" というのが、これまた、リズムが良くていいんですね。
少しの何もしなくて良い宙ぶらりんな時間は、短篇を読み進めるにあたり誠に都合がよく、
仮に、邪魔が入った(仕事)にしても、
しおりを差しておき、次の宙ぶらりんな時間を得た際、再び其の頁からぺらぺらと読めてしまう。
いけませんねムッシュ、仕事中ですよ、
と、自分に言い聞かせ、本を鍋に持ち替え、
いそいそとキャベツを蒸す、わたしで御座います。

4月30日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

パクチー

わたしの知らぬ間に、 
畑にはパクチーが植わっておりました。
独特の芳香は、好みの分かれるところでは御座いますが、
「わたしは個性的です。」 という日本人にはないメンタリティとでも申しましょうか、
少しも、自己主張を抑制するつもりは無いようで、潔さすら感じます。
パクチーを、ひょいっと口のなかへ放り込めば、
其処はもう異国です。
辺りの風の感触や、漂う空気も変わってしまうように感じます。
パスポートの要らぬ旅の始まりです。

いつか読み耽ったミッドナイト エクスプレスの一項に、
たしか、パクチー(ザウムイ)の入ったフォーが登場し、
なんだか其の頁から、そのフォーの香りまで伝わってきたことがあります。

食わず嫌いなどと言わず、
何処かで機会があれば、どうぞご賞味下さい。
あなたの世界観が少しばかり広がるかもしれません。
と言えども、駄目な方には、無理強いは致しませぬ。
どうぞご安心を。

4月23日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

高速道路

未だ陽も昇らぬ時間の高速道路を走りながら、 
いつも取り留めの無いことを考えます。

どうでも良いことであったり、
思考の断片の寄せ集めだったり、
誠、現実的な事柄であったり。
深夜放送の気の利いた選曲で、其の考えにリズムが生まれたり、
流れる音楽に聴き入って、考え其のものを忘れてしまったり、
今、ハンドルを握るポンコツ車の音に耳を傾けたり、
追い越し車線を走り去るAudi A6のヒップに見惚れたり、
夜明け前の雲の流れを、硝子越しに覗き込んだり、
ふたつある朝食用のパンをどちらから手をつけようか思い悩んだり。

考えてみると、此の忙しない世の中、
ひとり思いに耽る事の出来る場所というのは、
随分と限定されてしまいます。
また、日々時間にも追われます。
でも、ひとりの人間として、
そのような時間を設けることに、
いくらかの意味合いがあるのではないかと感じながら、
また、やれたシートに尻を落ち着け、ハンドルを握るのであります。


4月16日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

spring has come.

海の季節は、夏だけでは御座いません。 
四季其々、春の海も、また良いものです。

風は穏やかな南よりで、
もしやと思い持参した薄手のカーディガンは、
車の後部座席に置いておく。
浜の砂は、午後の太陽の熱を蓄え、
素足で歩くのも心地よい。
空を舞う鳥は、冬の間たたんでいた羽を大きく伸ばす。
潮干狩りをする地元の人々。
潮風にまじり、花の香りが届く。
遥か沖を大型タンカーが、ゆうゆうと進んでゆく。
何もかも穏やかで、太陽だけが順に、少しずつ傾いでゆく。

なにもしなくてよいのです。
ただ、佇むだけで。

4月9日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

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