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冬の音

ストーブの上でシュッシュッと湯気をたてる薬缶というのは、眺めていても飽きないものです。
時々、吹きこぼれた湯がストーブの上で弾けたりして、なんともリズミカルです。
そこで、わたしは思うのですが、ジャズにおけるシンバルの代わりに、
吹きこぼれた湯が弾ける音を利用したら面白いのではないでしょうか。

トリオのうちのひとりが薬缶の載ったストーブで、彼(ストーブ)がセンターに構えている。
其の脇をピアノとベースが固める。
ストーブは、まずはとろ火でゆっくりと湯をわかす。
薬缶の湯が沸くまでの間、ピアノとベースが退屈だと言わんばかりに眠たげなリズムで演奏を始める。
そして10分ばかりの後、薬缶の注ぎ口からわずかに湯気が上がるのに気付く。
ピアノが神経質な音を短い間隔で細かく叩き始める。
ベースは音量を抑えながら、わざと間延びした音を出す。
二人の目が、薬缶の注ぎ口を注視する。
注ぎ口からは、今にも湯が溢れんばかりの勢いだ。
今か今かと忙しなく鍵盤を叩くピアノ。
額に汗しながら、クールを装うベース。
そして、静まり返った客席。タバコの煙まで凍りついている。
突然ピアノが高い声でシャウトする。「ナイアガラ!」 ベースが弦を強く弾き其れに答える。
其れを合図に、薬缶が吹きこぼれる。
凄まじい吹きこぼれ方だ。
止め処ない湯量、いったいこの薬缶は、何リットルの容量があるのだろうか。
ジュッ♪ジュッ♪ ジュジュッ♪
ピアノは椅子を蹴飛ばし背面弾きを始める。
ベースは手のひらで弦を叩く、まるで打楽器だ。
そして薬缶は・・・

妄想が過ぎました。
どうもすみません。
暇だったものですから。

11月25日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

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