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続 “営む”ということ

「今年で36年目です。」
20数年ぶりに訪れた其のお店のお父さんは、
大仏様のようなその顔をこちらに向けて、小さく笑いながらそう呟いた。

「まだ営業しているのか?!」
わたしの開口一番に出てきた言葉だった。
友人と食事に出向く際に、彼の口から其の店の名前が出た時には心底驚いた。
10席弱の小さなカウンターと小上りがひとつ。
カウンターの上の平皿や鉢に料理が盛られ、「これとこれとこれ、それからビールをお願いします。」
というように注文する店だ。
お父さんはその大きな体をお世辞にも広いとは言えないカウンターの裏側で、
右に左にゆっくりと動きながら料理を小皿に盛りつけしてくれる。
時折、店の端にあるテレビに目を向けながら静かに仕事をする。
会計は未だに算盤(そろばん)だ。
ずっと同じ場所で、同じ営業形態で、日々淡々と労働する。
Wi-Fiもアカウントもパスワードもメールアドレスもなし。
其処に店があって、白の割烹着を着たお父さんが居て、カウンターに料理が並ぶ。
静かなる継続 これこそ私の向かう先にある"営み"なのかもしれません。

3月14日 水曜日は、定休日となります。 
宜しくお願い申し上げます。

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