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枯れノ様

庭に根を生やす古木の果樹の葉は、
秋が忍び脚で去っていくと、時を共に草臥れてゆく。
北よりの風にあおられ、かさかさと乾いた音をたてながら、
徐々に、其の色を地面へと還してゆく。
艶やかな紅も黄も無く葉は落ち、
枝は、幾分軽くなった其の腕をだらりともたげる。

其の傍らでは、大根が活力に富んだ葉を所狭しと広げている。
なるほど、移ろいとは、其の過程の最中に、あらたな息吹を呼び込むということなのかと、
枯れの果て、縮み、そして土の上に還った無花果の葉が、風に吹かれる様を眼にし、
わたしは、冬の寒さに備え、襟を立てるのである。

11月30日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

夜霧とブランケット

夜更けの霧が晴れ、くたびれた月が欠伸をしながら顔を出す。
薄雲の裏では、出番まではと居眠りを決め込む星の群れ。
弱った月光が、湿り気を帯びたアスファルトをてらてらと照らす。

窓を閉じ、部屋へと戻ると、スピーカーからは、ann sallyの歌声。
肌あたり良いブランケットのような声色が、部屋を暖かくしてゆく。
タンブラーには湯割の果実酒、今宵は、幾らか度数が濃い目のようでして。
膝掛けでもして、海辺のカフカでも拾い読みしましょうか。

11月23日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

群青色の夕闇

夕刻時のこと、
庭先の電線に、無数の鳥の群れが、列を成している。 
彼等の獲物は、庭にある無花果としぶ柿の実。
どちらも、幾らか残しておいた実がポツポツとぶら下がってはいるが、
其の鳥の数からして、何の足しにも成らぬ程。
しかし、腹を空かせた彼等は、代わる代わる羽ばたき、実を突いては律儀に電線へと戻って行く。

其れを眺めている矢先、空が動き始める。
迫り寄る群青色の帯、追い遣られる焼色。
闇夜の空が低く低く迫ってくる感覚は、やはり冬の其れで、
ここに来て、ようやく季節がカレンダーに追いついてきたことに、幾らかの安堵を憶えた立冬の日。

今頃、あの鳥の群れは、西の山の寝床で身体を丸めていることだろう。

11月16日 水曜日は、定休日となります。
翌日17日 木曜日は、玉葱の植え付けのため、お休みとさせて頂きます。

宜しくお願い申し上げます。

BLUES HARP

わたしは、
何を隠そう、
鞄の中に、10ホールズのBLUES HARPを忍ばせている。

C、D、Gのコード別の其れを自在に操ることができるようになる頃には、
おそらく、わたしの髭は白くなり、顔にも随分と皺がよっていることであろう。
先日、いつもの表浜で奏でた、「ゆうやけこやけ」の1フレーズ。
と書いてしまうと、随分と粋に感じるものの、
実際のところ、最初の1フレーズで手一杯というのが、悲しいかな、今のわたしのキャパシティ。

しかしながら、オフショアに乗って広がっていったハーモニカの響きは、
良く晴れた午前の海辺に、いくつかの笑みを齎したのであった。

11月9日 水曜日は、定休日となります。 
宜しくお願い申し上げます。

November

拍子抜けする程の陽気が続いた10月。
薪ストーブの出番もなく、
あっけらかんと過ごしたひと月であった。
さて、霜月は、如何に。

吐き息白く、柑橘の香りとともに、湯気立つホットワインを掌で包み込み、
身体に伝わる温もりに、ささやかな幸せを見出す。
当たり前の事柄を大切にできればと願う2011年 冬の月初め。

11月2日 水曜日は、定休日となります。 

宜しくお願い申し上げます。

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