- 枯れノ様
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庭に根を生やす古木の果樹の葉は、
秋が忍び脚で去っていくと、時を共に草臥れてゆく。
北よりの風にあおられ、かさかさと乾いた音をたてながら、
徐々に、其の色を地面へと還してゆく。
艶やかな紅も黄も無く葉は落ち、
枝は、幾分軽くなった其の腕をだらりともたげる。
其の傍らでは、大根が活力に富んだ葉を所狭しと広げている。
なるほど、移ろいとは、其の過程の最中に、あらたな息吹を呼び込むということなのかと、
枯れの果て、縮み、そして土の上に還った無花果の葉が、風に吹かれる様を眼にし、
わたしは、冬の寒さに備え、襟を立てるのである。
11月30日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。 -
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- 2011 年 11 月 28 日
- 夜霧とブランケット
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夜更けの霧が晴れ、くたびれた月が欠伸をしながら顔を出す。
薄雲の裏では、出番まではと居眠りを決め込む星の群れ。
弱った月光が、湿り気を帯びたアスファルトをてらてらと照らす。
窓を閉じ、部屋へと戻ると、スピーカーからは、ann sallyの歌声。
肌あたり良いブランケットのような声色が、部屋を暖かくしてゆく。
タンブラーには湯割の果実酒、今宵は、幾らか度数が濃い目のようでして。
膝掛けでもして、海辺のカフカでも拾い読みしましょうか。
11月23日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。 -
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- 2011 年 11 月 21 日
- 群青色の夕闇
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夕刻時のこと、
庭先の電線に、無数の鳥の群れが、列を成している。
彼等の獲物は、庭にある無花果としぶ柿の実。
どちらも、幾らか残しておいた実がポツポツとぶら下がってはいるが、
其の鳥の数からして、何の足しにも成らぬ程。
しかし、腹を空かせた彼等は、代わる代わる羽ばたき、実を突いては律儀に電線へと戻って行く。
其れを眺めている矢先、空が動き始める。
迫り寄る群青色の帯、追い遣られる焼色。
闇夜の空が低く低く迫ってくる感覚は、やはり冬の其れで、
ここに来て、ようやく季節がカレンダーに追いついてきたことに、幾らかの安堵を憶えた立冬の日。
今頃、あの鳥の群れは、西の山の寝床で身体を丸めていることだろう。
11月16日 水曜日は、定休日となります。
翌日17日 木曜日は、玉葱の植え付けのため、お休みとさせて頂きます。
宜しくお願い申し上げます。 -
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- 2011 年 11 月 14 日
- BLUES HARP
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わたしは、
何を隠そう、
鞄の中に、10ホールズのBLUES HARPを忍ばせている。
C、D、Gのコード別の其れを自在に操ることができるようになる頃には、
おそらく、わたしの髭は白くなり、顔にも随分と皺がよっていることであろう。
先日、いつもの表浜で奏でた、「ゆうやけこやけ」の1フレーズ。
と書いてしまうと、随分と粋に感じるものの、
実際のところ、最初の1フレーズで手一杯というのが、悲しいかな、今のわたしのキャパシティ。
しかしながら、オフショアに乗って広がっていったハーモニカの響きは、
良く晴れた午前の海辺に、いくつかの笑みを齎したのであった。
11月9日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。 -
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- 2011 年 11 月 7 日
- November
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拍子抜けする程の陽気が続いた10月。
薪ストーブの出番もなく、
あっけらかんと過ごしたひと月であった。
さて、霜月は、如何に。
吐き息白く、柑橘の香りとともに、湯気立つホットワインを掌で包み込み、
身体に伝わる温もりに、ささやかな幸せを見出す。
当たり前の事柄を大切にできればと願う2011年 冬の月初め。
11月2日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。 -
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- 2011 年 11 月 1 日