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波音

岬の先端にたどり着いたのは、午前1時だった。 
ほの暗い辺りに夜月の光が降り注ぐ。
車の中で寝袋を広げ、小型のランタンを灯す。
時より届く小さな波音、虫の声、静寂、深い闇夜。
文庫本の頁を繰る音でさえ大袈裟に聞えた。
だから静かに頁を繰った。
音をたてぬようゆっくりと。

天井を叩く雨音で目が覚める。
いつの間にか眠っていたのだ。
腕時計に目をやると、時刻は午前3時前だった。
時より届く小さな波音、虫の声、静寂、深い闇夜。

そして明け方まで途切れ途切れに眠った。
護岸に座って日の出を眺めていると、二匹の猫が跳ねるように走り去った。
魚でもくわえていたのだろう。
わたしも朝食にありつきたいと思ったが持ち合わせが何も無かった。
仲間が目覚めたらコーヒーを淹れてもらって、なにかこしらえて貰おう。
あれだけ深かった闇の世界が、徐々に光を取り戻していく。
羽の長い鳥が細く鋭い声で、一日の始まりを告げながら、西の空へ飛んでいった。

御来店の際、お車は一組一台でお願いしております。 
ご無理申します。
御理解頂けますと幸いです。 

10月7日 水曜日は、定休日となります。
宜しくお願い申し上げます。

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